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日本のアジサイは、私がこれまで描いた植物のなかで、聖なる儀式の一部でもある唯一の植物です。紫陽花は梅雨の花であり、土によって色が変わる低木だと知っていました。けれど、その葉を発酵させると甘いお茶になることは知りませんでした。しかもそのお茶は、毎年4月に幼い釈迦の像へ注がれます。日本では、この植物は眺めるだけのものではありません。飲むものでもあるのです。
TL;DR4月8日に幼い釈迦を沐浴させる甘茶は、発酵させたアジサイの葉から作られます。生の葉は苦く、わずかに毒性があります。そのため日本の厚生労働省は、1リットルあたり約3グラムを目安にするよう勧めています。
主な事実
日本のアジサイとは、実際にはどんな植物か
ヨーロッパが取り入れたアジサイは、日本にあるアジサイと完全に同じではありません。野生の原種はガクアジサイです。小さな両性花が平らに集まり、その周りを華やかな装飾花が囲んでいます。外側の大きな花は目印のようなもので、この輪こそが見どころのすべてです。
誰もが思い浮かべる手毬咲きは、この野生種から選抜されたもので、装飾花が花房全体を埋めるように育種されました。日本ではホンアジサイと呼ばれます。つまり、花屋の店先に並ぶ丸くて青い球は、もっと控えめな野生種を栽培によって誇張したものなのです。描く前に知っておく価値があります。ブリタニカによるとアジサイ属には約23種があり、園芸品種の背後にいるのはそのうちほんの数種だけです。
甘茶:飲むアジサイ
甘茶は「甘いお茶」という意味ですが、茶葉のお茶ではありません。アジサイの葉の浸出液で、使われるのは庭の手毬咲きと同じ種の山地型であるHydrangea macrophylla var. thunbergiiの葉です。
おもしろいのは製法です。開花の直前に摘んだ葉は、非常に苦いものです。これを揉み、蒸し、発酵させます。すると苦味のもとになる成分がフィロズルチンに変わり、砂糖の数百倍もの甘さになります。正確な倍率は資料によって異なり、200倍から800倍までの幅で語られています。
つまり、甘さは植物そのものにあるのではありません。葉を食べにくくしていた当のものから、加工によって生み出されるのです。珍しい仕掛けです。アジサイをどれだけ眺めても、こうしたことは決してわかりません。
釈迦の沐浴と、花の御堂
4月8日、日本各地のお寺では灌仏会(花まつり)が営まれます。伝統は古く、記録に残る最初の法要は606年の飛鳥寺でのものです。
釈迦が生まれた園を表す、花で飾られた小さな御堂を花御堂といい、その中の浅い水盤に幼い釈迦の像が安置されます。参拝者は竹の柄杓を手に取り、像の頭に甘茶を注ぎます。たいてい3回です。この所作は、釈迦の誕生に降ったと伝えられる甘い雨を再現したものです。法要のあと、甘茶はその場でいただいたり、小さな瓶に入れて持ち帰ったりします。
用量に上限のある聖なるお茶
日本のアジサイにはわずかな毒性があり、ここまでの話とは不思議な対照をなしています。葉や蕾にはシアン化合物を生じる成分が含まれており、気軽に食べてよい植物ではありません。
そのため日本の厚生労働省は、甘茶の濃さについて注意を出しています。濃く煮出しすぎて体調を崩した例があったことから、葉は1リットルあたり約3グラムまでが望ましいとしています。儀式の飲み物に公的な濃度の上限があるというのは、めったにない組み合わせです。甘茶が日常の飲み物にならず、儀礼や薬として残った理由もここから見えてきます。
紫陽花を描くこと、そして手毬咲きが隠しているもの
アジサイの頭花は一輪の花ではありません。一輪の花として描くのは、よくある間違いです。あの頭花は集散花序で、小さな花の集まりです。そのため花びらのように見えるひとつひとつは、それぞれの花に属するがく片です。Fiurdelinはイタリアのコモ湖畔にあるボタニカルイラストのスタジオです。カタログには公開済みの図版が50点以上あり、そのうち9点が2026年の公募展で入選しました。
手毬咲きが隠しているのは、両性花です。野生のガクアジサイでは、中央の密なつぼみのような塊としてはっきり見えます。花房いっぱいに咲かせる育種の結果、それが埋もれてしまい、栽培品種は派手に目立つ一方で、繁殖はあまり得意ではありません。甘茶を知ったことで、葉の見え方も変わりました。葉は花を支える緑の脇役ではなく、役目をもつ部分になったのです。
アジサイのアートを家で飾る
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上のアジサイは、シダとモンステラとともにキャンバスで、サブウェイタイルの洗面台の上に掛けています。バスルームは意外な場所ですが、よい場所でもあります。白いタイルに、涼やかな青がよく映えるからです。雨との結びつきもぴったりです。湯気のこもる部屋では、ガラス入りの紙よりキャンバスのほうが理にかなっています。
合わせる作品は、花よりも葉ものにしましょう。アジサイを緑の図版2点と並べれば植物コレクションに見えますが、花2点と並べると花束のように見えてしまい、印象は弱くなります。3点は1本の中心線にそろえ、中心の高さは床から約145cmが目安です。部屋が狭いなら、浴槽の上に3点を掛けるより、洗面台の上に1点のほうが効果的です。バスルーム向けプリントのページでは、この配置を実際の高さで紹介しており、観葉植物の壁のページでは、より緑豊かな組み合わせを紹介しています。
よくある質問
日本のアジサイは何と呼ばれていますか。
紫陽花(あじさい)です。文字どおりには「紫の太陽の花」と読めます。野生のガクアジサイ型はガクアジサイ、栽培品種の手毬咲きはホンアジサイと呼ばれます。どちらもHydrangea macrophyllaなので、違いは種ではなく育種によるものです。
アジサイのお茶は飲めますか。
甘茶は特定の山地型の葉から、発酵させたあとにのみ作られます。庭のアジサイで見よう見まねに作るものではありません。この植物にはシアン化合物を生じる成分が含まれています。日本の厚生労働省の助言では、濃さの上限は1リットルあたり葉約3グラムとされています。
なぜ釈迦の誕生日にアジサイが使われるのですか。
甘いお茶は、釈迦の誕生に降ったと伝えられる甘い雨を表しています。参拝者は花御堂の中にある幼い釈迦の像に甘茶を柄杓で注ぎます。アジサイは砂糖を使わずに甘みをもたらすため、この植物が儀式の植物になりました。
日本でアジサイは何を意味しますか。
誠実で心のこもった気持ちと、きちんと謝る心構えです。色の変化は、移り気ではなく奥深さと受け取られます。紫陽花は梅雨とも結びついています。こうした意味の背景にあるアジサイの民間伝承は、ひとつの言葉よりもずっと奥が深いものです。
このアジサイのボタニカルアートはどのように印刷、発送されますか。
この図版はPinkoiで販売しているデジタルダウンロードなので、物の発送はありません。高解像度のファイルをお受け取りいただき、ご自宅やプリントショップで印刷します。用紙とサイズはご自身で選べますので、湿気のある部屋に飾る図版にも向いています。
もうひとつの役目をもつ植物
多くの花には意味があります。けれど、役目をもつ花はごくわずかです。日本のアジサイは両方をもち、その役目は意味よりも不思議です。苦い葉を発酵させてとても甘いものに変え、花で作った御堂の中の像に注ぐのです。この図版をお求めの方は、デジタルファイルをPinkoiで取り扱っています。ほかの作品とともにFiurdelinコレクションに並んでいます。日本の桜にも、同じような二つの顔があります。桜の物語は、多くの人がすでに半分は知っているものでしょう。
